2018/08/03
■2018/08/03 神奈川県 大和偽装自殺殺人事件③「息子の来院」
(息子の来院)
その数日後 H は息子と一緒に オフィスに現れた。息子は青みがかったグレーのキャップをかぶりなかなか体格の良い青年だった。
二人は、面談室に入ると私とテーブルで対面し、私から向かって母親が右、息子が左に並んで座った。息子はニコやかな表情を私に向けて座っていた。
この息子がこれからじきに自殺するとは私には思えなかった。 息子は私に向かって陽気な口調で話しかけてきた。
息「先生こんな僕を見てこんな奴は絶対に自殺しないって思っていませんか?でも僕は間違いなく自殺しますから!」
私「そうなの? 昨日まで旅行に行っていたんだよね? 旅行に行って楽しかったの?」
息「はい!」
私「旅行って観光?それともどうしても会いたい友達に会いに行ったとか・・」H「それが先生!・・女の子に会いに行ったんですよ!」
私「女の子?・・彼女っていうことですか?」
H「それが SNS とかで知り合ってそれで会うことになったとか言ってしょっ中旅行するんです。この後も京都に行く予定になっているんですよ!」
私「それも SNS?」
H「そうです。そんな事ばかりやっているんですよ!」
とHは私に言うと今度は息子の方向いて
H「頼むわよ!あんたが死んだ後、あんたの子供だなんて言ってお腹を大きくした女の子なんか現れたらかなわないんだから!」
と言いながら右手で息子の左腕を叩いた。
叩かれた息子はせせら笑いながら喜んでるように見えた。 その様子は母と息子というよりも、まるで恋人同士がじゃれ合っているようであった。
私「そんなに楽しい毎日だったら自殺なんかはやめて人生をもっと楽しみたいって思うんじゃないの?」
その質問に対して息子は
息「今楽しいのは死ぬ日を決めたからなんです。 マラソンランナーが苦しくて苦しくて立ち止まってしまおうと思っていた時に残りがあと2キロだとわかったら急に元気が出て意気揚々と走り出すことがあるじゃないですか!それと同じです」
一見理屈が通っているような息子の言葉であったが
私「いや!それはおかしいだろう!」
という私の言葉を聞いてウスラ笑っていた息子の顔から笑みが消えた。
私「その理屈が正しければ癌で余命宣告された患者はみんな『やった!ゴールはもうすぐだ』と言って急に元気になるはずだよね!でもみんなショックを受けて生きる気力を失ってしまうのはなぜなんだい?」
その問いに息子は絶句して次の言葉はなかった。
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その数日後 H は息子と一緒に オフィスに現れた。息子は青みがかったグレーのキャップをかぶりなかなか体格の良い青年だった。
二人は、面談室に入ると私とテーブルで対面し、私から向かって母親が右、息子が左に並んで座った。息子はニコやかな表情を私に向けて座っていた。
この息子がこれからじきに自殺するとは私には思えなかった。 息子は私に向かって陽気な口調で話しかけてきた。
息「先生こんな僕を見てこんな奴は絶対に自殺しないって思っていませんか?でも僕は間違いなく自殺しますから!」
私「そうなの? 昨日まで旅行に行っていたんだよね? 旅行に行って楽しかったの?」
息「はい!」
私「旅行って観光?それともどうしても会いたい友達に会いに行ったとか・・」H「それが先生!・・女の子に会いに行ったんですよ!」
私「女の子?・・彼女っていうことですか?」
H「それが SNS とかで知り合ってそれで会うことになったとか言ってしょっ中旅行するんです。この後も京都に行く予定になっているんですよ!」
私「それも SNS?」
H「そうです。そんな事ばかりやっているんですよ!」
とHは私に言うと今度は息子の方向いて
H「頼むわよ!あんたが死んだ後、あんたの子供だなんて言ってお腹を大きくした女の子なんか現れたらかなわないんだから!」
と言いながら右手で息子の左腕を叩いた。
叩かれた息子はせせら笑いながら喜んでるように見えた。 その様子は母と息子というよりも、まるで恋人同士がじゃれ合っているようであった。
私「そんなに楽しい毎日だったら自殺なんかはやめて人生をもっと楽しみたいって思うんじゃないの?」
その質問に対して息子は
息「今楽しいのは死ぬ日を決めたからなんです。 マラソンランナーが苦しくて苦しくて立ち止まってしまおうと思っていた時に残りがあと2キロだとわかったら急に元気が出て意気揚々と走り出すことがあるじゃないですか!それと同じです」
一見理屈が通っているような息子の言葉であったが
私「いや!それはおかしいだろう!」
という私の言葉を聞いてウスラ笑っていた息子の顔から笑みが消えた。
私「その理屈が正しければ癌で余命宣告された患者はみんな『やった!ゴールはもうすぐだ』と言って急に元気になるはずだよね!でもみんなショックを受けて生きる気力を失ってしまうのはなぜなんだい?」
その問いに息子は絶句して次の言葉はなかった。
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